医療法人

病院や診療所などの医療施設を開設する主体には、国、地方自治体、学校法人、社会福祉法人等、さまざまな形態があり、その中の一つに医療法に基づく医療法人があります。

医療法第39条第1項
病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設を開設しようとする社団又は財団は、この法律の規定により、これを法人とすることができる。

 

医療法人の種類

1.社団医療法人

複数の人(社員)が集まり設立する医療法人

①出資持分のある医療法人

定款に出資持分に関する定めを設けている。
※平成19年4月以降は出資持分のある医療法人は設立できなくなりました。

②出資額限度法人

出資持分のある医療法人で、社員の退社に伴う出資持分の払戻しや解散時の残余財産分配の範囲を払込出資額を限度とする定款の定めを設けている。

③出資持分のない医療法人

定款に出資持分に関する定めを設けていない。

④基金制度採用医療法人(基金拠出型医療法人)

出資持分のない医療法人の一類型であり、法人の活動の原資となる資金の調達手段として、定款の定めるところにより、基金の制度を採用しているもの。

⑤特定医療法人

租税特別措置法第67条の2第1項に規定する特定の医療法人で、国税庁長官の承認を得られれば、税制上の優遇措置を受けることができる。

 

⑥社会医療法人

医療法人のうち、医療法第42条の2第1項各号に掲げる要件に該当するものとして、政令で定めるところにより都道府県知事の認定を受けたもので、税制上の優遇措置を受けることができる。
また、医療法第42条の2第1項柱書に定める収益業務を行うことも認められる。

 

2.財団医療法人

個人または法人が無償で寄附する財産に基づいて設立される医療法人(特定医療法人、社会医療法人もあり)

 

医療法人の設立

医療法人は、主たる事務所の所在地の都道府県知事等の認可を受け、設立の登記をすることで成立します。

 

設立後の手続

医療法人は、設立後も診療所、病院等の手続とは別に、法人として医療法に基づく、都道府県知事への各種届出義務等が課せられています。

1.定期報告

毎会計年度終了後、事業報告書、決算書類等の届出を3ヶ月以内に行う。
※法人種類、事業規模等によって、届出義務のある書類が違う
※資産の総額(毎年)、役員変更の登記完了届も届出

2.役員変更届

役員が変更(就任・退任・重任・死亡等全て)されたときに変更届を提出。登記が必要な場合は、登記後に登記完了届も届出
※原則、診療所等の管理者は全て、理事に就任しなければならない

3.定款(寄附行為)変更

業務内容の変更等で、定款(寄附行為)を変更する場合は、事前に都道府県知事等の認可が必要
※「事務所所在地」「広告の方法」のみの変更は、認可は不要で届出が必要。
※診療所等の新設、移転に関する定款変更の認可は、安定した経営が出来るか(医療内容の低下を招かないか)、法令に違反していないか、営利を目的としていないか、が審査されます。

 

医療法人の機関等に関する改正(平成28年9月1日施行)

1.医療法人の機関等について

①社員総会・評議員会・理事会の議事録の記録事項が示された

②理事の競業及び利益相反行為について
理事は、競業及び利益相反取引を行う場合は、理事会において当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。

理事長が利益相反取引を行う場合、特別代理人の選任が必要であったが、施行日以降、当該取引については理事会による承認と報告で足りることとなり、都道府県知事への特別代理人の選任申請は不要となった。

③理事・監事の報酬等について
理事及び監事の報酬等は、定款又は寄附行為にその額を定めていないとき、社員総会又は評議員会の決議によって定める

定款等又は社員総会若しくは評議員会においては、理事及び監事に対する報酬等の総額をそれぞれ定めることで足り、個々の理事又は監事の報酬等の額を、その総額の範囲内で、理事会の決議又は監事の協議によって定めることは差し支えない。
また、報酬等の総額の上限を超えない限り毎回会計年度の社員総会又は評議員会における決議をしなくてもかまわない。

④理事長の業務状況報告等について
理事長は、医療法人の業務を執行し、3か月に1回以上、自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。ただし、定款等で毎事業年度に4か月を超える間隔で2回以上その報告をしなければならない旨を定めた場合は、この限りでない。

医療法人の機関について(医政発0325第3号平成28年3月25日)

 

2.医療法人の定款例及び寄付行為例の改正について

○新規設立認可等の申請 ⇒ 新定款例又は新寄付行為例で作成

○既存の医療法人で理事会に関する規定が置かれていない法人
⇒ 平成30年8月31日迄に変更認可申請

○社会医療法人及び大規模の医療法人 ⇒ 速やかに変更することが望ましい
※「大規模の医療法人」について、具体的な定義はなし。

○それ以外の医療法人(平成19年4月施行の法改正時の定款例又は寄付行為例に倣った規定が置かれている)
⇒ できるだけ速やかに行うことが望ましい(大阪府・大阪市)

※事業変更等による定款(寄附行為)の変更を行う手続をする場合は、併せて法改正に伴う箇所の変更も必ず行うこと

※今回の改正事項は法律事由であり、定款等の記載の有無にかかわらず全医療法人に適用されます。
例えば、定款変更を行わず定款規定では「理事長の選任を理事の互選」となっていても、法に基づき「理事長は理事会において選任」する必要があります。期限付きの定款変更が求められていない法人も古い定款に基づいて、間違った運営がされないよう、出来るだけ早い定款変更をお勧めします。

 

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